漫画原作者 猪原賽BLOG

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『漫画原作のゲンバ』――「スターダッシュ★アルマクロー」(その3)

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『漫画原作のゲンバ』――「スターダッシュ★アルマクロー」(その2) - 賽の目記ポータル『漫画原作のゲンバ』――「スターダッシュ★アルマクロー」(その2) - 賽の目記ポータル

・■10、11振り向く有馬本体。思わせぶりな表情を見せ、――サッ サササッと腰を抜かした小下から逃亡する。小 下「な な な……」...

******(前回より)******

■20、21
有 馬「――宇宙人だ」

  絶句する小下。

有 馬「俺はアンドロメダ銀河連合 地球特派兵――アルマクロー」
   「昨夜は プレアデス星団の奴らとの戦争中 お前を巻き込んじまった」

小 下「え え?」
   「宇宙人? 戦争?」
   「な なに言ってんの……?」
   「昨日は 僕は公園で……」
有 馬「いいか お前 小下とか言ったか?」
   「お前はな 昨夜 公園で」

有 馬「(オフ)――バイクにはねられ 死んだ」
  小下、二度絶句。


有 馬「厳密に言えば 心肺停止状態にあった」
   「我々 地球特派兵は 現地人への干渉は ご法度だ」

  イメージカット。
  裸の小下が背中をこちらに向けた全身。
  それと背中合わせで、昨夜の有馬の正体である姿。
  さらにその向かいに、有馬九郎だった肉体が倒れている。
有 馬「(オフ)加えて 俺自身も 地球人型義体(テラ・スーツ)を失って 瀕死の状態にあった」
   「(オフ)お前を死なすわけにはいかないし 俺も生きたかった」
   「(オフ)だから」

  イメージカット。
  今朝の、鏡の前の小下。胸に有馬。
有 馬「(オフ)俺は お前の身体に融合した」

有 馬「今 お前が生きているのは 俺の内臓が お前の心肺の代わりに働いているからだし」
   「逆に俺は お前の身体という 地球環境に適した肉体に守られ 生きている」

  思い出す小下。
ヤンキー「有馬の野郎 服 脱ぎ捨てるんスよ」

小 下「じゃあ 昨日のバイクの連中も……!」

■22、23
  バイカー集団のイメージカット。
有 馬「(オフ)言ったろ」
   「(オフ)プレアデス星団の兵隊だ」
カコミ「チーム〝振亜死神(プレアデス)〟――プレアデス星団 地球特派兵」

小 下「な 何してるんだよお前らあああああ!!」
   「地球で! 日本でさぁああああ!!」

  ――むぁ~ん
  と口から星図を出す有馬。
有 馬「見ろ」

  星図から空中に宇宙が投影される。
有 馬「(オフ)これは〝星図(フラッグ)〟」
   「(オフ)今の宇宙を映し 故郷の星を指し示す!」

小 下「これは……」
  ゴクリ。

  宇宙。
小 下「(オフ)無い!」
   「(オフ)織姫(ベガ)と彦星(アルタイル)が!」

  前のコマの続きで宇宙。
  そして有馬の宇宙人姿のイメージ。
有 馬「極度に文明が進んだ宇宙人の戦争は 星々を一瞬にして消し去るまでになった」
   「しかしそれでは 戦争する双方が 共倒れだ」
   「だから我々は」

有 馬「星々それぞれに代表を立て 未開の辺境惑星――地球で戦うことにした」
   「俺は アンドロメダ銀河連合の代表の一人!」
   「そして」

  小下は星図を手にしている。
有 馬「最後の生き残りだ」
   「俺が死ぬか そのアンドロメダの星図が奪われれば アンドロメダは……」

小 下「――消える!?」

  街。
小 下「(オフ)そんな……」
   「(オフ)星間代理戦争が 地球で……日本で行われてる……?」

■24、25
  街を歩いている小下。
有 馬「いや ここ 天川市で だ」
小 下「街も限定してんの!?」

  街の様子。
  人が多い。
有 馬「(オフ)しかも 宇宙人はみんな 人間に擬態している」
   「(オフ)密かに 人間社会に溶け込んでいるんだぜ」

  コンビニの前でたむろする不良。
有 馬「(オフ)アイツも」
カコミ「北極星(ポラリス)特派兵」

  カツアゲしている不良。
有 馬「(オフ)アイツも」
カコミ「M78星雲連合 特派兵」

  チャリ窃盗をしようと鍵をガチャガチャしている不良。
有 馬「(オフ)アイツもだ」
カコミ「ペルセウス二重星団 特派兵」

小 下「なんでみんなヤンキーに化けてんだよ!?」
有 馬「え だって カッコイイだろ?」
   「あんまし干渉もされないし」
小 下「ある意味 溶け込んでないよ!」

  チャリ窃盗しようとしていた不良が振り向き、
不 良「ああ? 何見てんだコラ」
  とこっちにメンチを切る。

  ――ダッ
  と逃げる小下。
小 下「な 何も見てません!」

  走りながら、
小 下「(ヤンキーがみんな 宇宙人!?)」
   「(しかも 天川市(このまち)限定で!?)」
   「(どおりで 物騒な街なわけだよ!)」

  ――ドッ ドッ ドッ
  とエンジン吹かして停車するバイクから、プレアデスのボスがこっちを見る。
ボ ス「あ?」

■26、27
  たまたま、たまたまだ。
  プレアデス・ボスが、走って来た小下を通せんぼする形で停車していた。
小 下「ひっ」

ボ ス「顔 貸せコラ」

  バイクが集まっている土手。河川敷。
  橋の下。物陰。
メンバー「(オフ)生きてやがったのか!」

  小下がプレアデスのメンバーに囲まれている。
小 下「うわああ……」

  小声で、
有 馬「焦るな 言ったろ」
   「地球特派兵
お れ た ち
は 地球人への干渉は 禁じられてる」
   「やっても 強請(ユスリ)タカリ――悪戯レベルのお遊びだ」
   「命に関わるような事は しねえ」
小 下「でも……」
   「(手書きで)一回殺されてるし……」

  メンバーの一人が小下に迫る。
メンバー「あの重傷で ケロリとしてやがる」
   「さてはテメーも 宇宙人の擬態か!?」
   「どこの星の者
モン
だ コラ!?」

小 下「いや 僕 にんげ……」
  人間だと答えようとするが、言わせない。
ボ ス「アンドロメダの星図」
   「有馬九郎から渡されてねーか?」

ボ ス「アレは 俺達が最後の一人まで追い込み 奪うはずだった勝利の星図(フラッグ)」
   「持ってたら よこせ」

  有馬の不愉快そうな顔。もちろん服の下で、だ。
有 馬「!」

  小下の胸から叫ぶ有馬。
有 馬「渡すわけねーだろクソが!」
  胸のあたりを見て困惑する小下。
小 下「え ちょっと……」

  ――カツッ
  と小下にチョーパン。

  ――ぼたぼた
  と鼻血を垂らしながら、瞳孔が開く小下。
小 下「ちょ え……」

 

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■28、29
  ボスの顔が、小下の顔の形に凹んでいる。
  ライダーゴーグルもめりこんでいる。
ボ ス「そうか 持ってるんだな?」
小 下「(オフ)ひぃっ!」

小 下「(う 宇宙人……! 宇宙人だ!!)」
   「(じゃないにしても 人間じゃない……!)」
  と絶句する小下。
  ボスの頭はゆらゆら揺れ、

  顔を勢いよく振る。
ボ ス「ふんっ」

  ボスの顔が元通り……とはいかず、何かパーツの配置がおかしい。
ボ ス「身体が丈夫みてーだからな 徹底的に可愛がれ」
   「星図はその後 回収すればいい」

  小下に一気に襲い掛かるメンバー達。
   「押忍!!」
小 下「うわぁぁぁぁぁ」

  倒れている小下。完全にリンチ。
   「オラ!」
   「どうした!」
   「ぶっ殺すぞコラ!」

  血を吐き、怪我をし、血が舞い、メガネは割れて飛び、絶望の小下。
小 下「話が……違……」
   「僕……人間…………」

 

 

漫画原作のゲンバ (上)

漫画原作のゲンバ (上)

 
漫画原作のゲンバ (下)

漫画原作のゲンバ (下)

 

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■30、31服の下の有馬。有 馬「(こいつは……やべェ……!)」「(やるしか ねぇか……!?)」小 下「僕は地球人だ!!」大声で叫ぶ。メンバーは一瞬ひるむ。メン...