漫画原作者 猪原賽BLOG

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オオシマフランス便り『ツール・ド・外道』第02道

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第02道「私の住む町ランス」

 

ども。今回は私の住む町、ランス(Reims)についてです。

パリからTGVで50分ほど、フランス北部のどちらかといえば小さい田舎町。
田舎町と言っても日本のイメージのような、
都会からはなれてゆくに従ってだんだんと家が少なくり住む人も減ってゆくような感じではありません。
TGVに乗っているときの車窓は、

パリ→パリ郊外→→→→→延々続く丘陵地帯→→→→→ランス郊外→ランス、

と言った感じです。町と町の距離が離れていてそれぞれが個別で発展しているのです。
町からはなれればすぐ丘陵地帯がはじまり、あとは次の町まで畑や牧場くらいしか見当たりません。
まさしくRPGゲームの町から町へ、といったイメージでしょうか。
例えて言えば緑の丘陵地帯にいきなり中野区の駅前周辺がボンとあるような。
なのでそれぞれの町は小さいながらも必要な物は探せば大体手に入るのです。
田舎町といってもそれほど不自由は感じないのです。

ランスと言えば世界遺産のノートルダム大聖堂が有名です。
フランス歴代の王が戴冠し、あのジャンヌダルクも訪れたという歴史ある大聖堂。
実際その目でみるとかなりの迫力です。周りの建物が小さいのも手伝ってかやたら大きく見え、
それでいて装飾は細かくなされている。ぼんやり外観を見ているだけでもかるく半日潰せます。
中に入れば今度はその荘厳な雰囲気に圧倒され、奥にはシャガールのステンドグラス、これがまた美しい。
天気のいい日にはその基調になっている青が周りの床や壁に反射して実に幻想的です。出不精な私がこっちへ来てしばらく、散歩コースにむりやり大聖堂を組み込んで毎日見に行っていた、といえば多少はその魅力がつたわりますでしょうか(笑?
そして、この町にはもう一つ、とても小さいながらもとても有名な礼拝堂があります。フジタ礼拝堂です。
皆さんはレオナルドフジタ、藤田 嗣治という芸術家をご存知でしょうか。
こちらでは一時期ピカソとタメをはるほどの名声を誇り、今でも芸術に少しでも興味があればその名を知らぬ者はないほどの超有名芸術家なのですが、日本ではよほど興味のある方でもないかぎりご存じない方が多いでしょう。
なぜなら私の聞いた話では、ヨーロッパでの大成功に嫉妬した当時の日本の画家やその周りの組織が彼を嫉妬からあえて国内でガン無視したからだそうです。
あくまで私の聞いた話ですが、世界に誇れる日本人が逆に日本人の足の引っぱりによって、日本では有名とは言いがたいという状況は、実に憤懣やるかたない話です。
そんな彼が晩年に手がけたのがフジタ礼拝堂です。
実は私が今住んでいる場所からあるいて5分ほど。なぜか観覧が許されるのが不定期なようで私も数度しか行けていませんが、
とても可愛らしい雰囲気のいい教会なのです。
「そんなの知ったこっちゃないもんね」と飄々と、それでいて凛とたっているように見えるのです。

そしてこの町はなんといってもシャンパーニュ・アルデンヌ地方の中心都市でもあります。
名前からわかる通り、つまりシャンパンの本場です。
友人によると、「ランスでシャンパン飲みたくなったら地面を掘るといい。シャンパン蔵に当たるから」といったことわざがあるくらい地下はシャンパン蔵が溢れ、もちろん地上もシャンパン三昧。パーティと言えばシャンパン。お誕生日と言えばシャンパン。バーベキューにシャンパン。さらには食前酒にシャンパン。
フランス人は全体的にお酒好きですが、大抵の地方がワインがメインです。それがこの地に限り、シャンパンに替わります。
この地には他にも「ぶどう畑でうずくまっている女性がいたら必ず手を差し伸べなさい。シャンパン蔵の子だったら玉の輿ですから」
なんて言葉もあるくらい、シャンパンだらけです。

おかげさまでぶっさいくなヒキコモリ生活をしている私もたらふくシャンパンを飲んでいます。これがこの町の一番の特典かもしれません(笑。

 

オオシマヒロユキ

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元相方・オオシマヒロユキの在仏日記を当ブログのコーナーとして連載(?)するというのは、この直前の記事のとおり。オオシマフランス便り『ツール・ド・外道』第01道 ...