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漫画原作者 猪原賽BLOG

「学園ノイズ」「悪徒」「放課後カタストロフィ」の原作者/ブロガーが告知したり漫画の作り方、関連ニュースをお伝えします

オオシマフランス便り『ツール・ド・外道』第03道

ツール・ド・外道 オオシマヒロユキ

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第03道「ランスのBDアトリエ ”Atelier 510”」

ちわっす。今回は自分の通うアトリエ(仕事場)についてです。


フランスのデシネ作家さん達は、時にアトリエを借りたりします。
もちろん自宅組が多数なようですが。
1人で借りるリッチな人もいれば、有志でお金を出し合って借りる事もあります。
漫画家もそうですが、1人でかき続けているとふさぎ込みがちになります。
そんな時に数人の仲間がいればいい刺激になりお互いの切磋琢磨にもつながりますし、情報交換もはかりやすい。
またフランスの方は仕事とプライベートをきっちり分ける人も多いです。
そのため、家には仕事を持ち込まないようにアトリエに通う人もいるようです。

自分の通うアトリエ510(サンクサンディス)はランスでいちばん大きなアトリエ。
ランスの町外れの雑居ビルを借りています。
町外れとはいえ、近所に大きなスーパーもあり、さらには今自分の住むアパートから5分程度。
場所的には申し分ありません。
なぜ510かと言うと、最初にアトリエを借りる時大家さんに「家賃は510ユーロだ」と言われ、
その際先輩達が「中途半端じゃないか、500ユーロに負けてくれないか」と交渉。
ところが大家さんは頑として510ユーロを譲らず、この事がアトリエをひらく際に一番先輩達の心に残ったからだそうです。
まあ、どっちもどっちですね(笑。
なかなかに有名で、ランスでバンドデシネ好きな人たちには、
「ランスにはアトリエ510がある」というのが自慢になるくらいなんだそうです。

アトリエの先輩達は家庭の事情や引っ越しなどでの出入りを経て、今現在7~8人が在籍。
ここでは主にほぼ毎日アトリエに通う5人をざっと紹介します。

まずはクリスチャン。カラーリスト、バンドデシネの色を塗る仕事です。
彼はこのアトリエのボス的存在です。アトリエに関する様々な事、例えばアトリエあげてのイベントへの参加、
家賃がわりにアトリエとして皆で引き受ける特殊な仕事等、ほぼ彼が取り仕切ります。カラーリストとしても有名で、
フランスで一番大きなBD祭、アングレーム漫画祭で審査員をしていたりします。

次にリュック。カラーリスト、カラーアシスタントです。カラーリストの仕事をしていますが、納期の早めなBDなどを請け負った際、
クリスチャンのアシスタントとして原稿の下塗りなどをします。アトリエで一番若い彼ですが、人当たりがとても良く、
自分もアトリエに来て一番に仲が良くなったのは彼でした。
学生の頃にオーストラリアに留学していて、英語も堪能なので話しやすいです。

そしてトマ。彼は主にBDの絵を担当。カラーは出来ないわけではないですがあまりやりません。
原作者、およびクリスチャンとの合同で作品を作る事が多いです。
実はこれが一番ノーマルなBDのかたちです。原作、絵、色塗りがそれぞれ別の仕事というのが一番ポピュラーな分業です。
彼は売れっ子ですがそれを鼻にかける事もなく、お酒好きでとにかくいつも明るいアトリエのムードメーカー的な存在です。
彼の机にはとにかく大量の日本、アメリカのフィギアが飾ってあり、「オタクの趣味はどの国でも一緒だね」と思わせてくれます(笑。

さらにベンガル。私と同じように彼は絵とカラーを仕事にしています。数年前までゲームの世界で仕事をしていてBD作家へ転身。やはりいまや売れっ子です。
独特で美しい色彩感覚を持っていて、彼のBDは不思議な雰囲気があり面白いです。
大の日本びいきで、漫画や日本文化の大ファン。漫画の事や漫画家の事を一番私に聞いて来るのは彼で、さらには大学でも日本語を勉強したそうで、
「コンニチワーオオシマサン!」と日本語で挨拶してくれます。
この前はユーチューブで中川家の大阪のおばちゃんコントを探してきて、さすがに聞きとれはしないらしいのですが、
「見てるだけでも面白いから見てみろ」と言われました(笑。

最後にベノワ。彼も絵と色塗りを主に仕事にしています。リアルタッチのアナログ水彩画は実に見事です。いまではBDの世界もパソコンで色付けが主流ですが、
さすがに色のついた生原稿が目の前で出来て行く様は、パソコンのそれより迫力が違います。
寡黙でおとなしく、あまり感情をあらわにするタイプの人ではありませんが、協調性が高く、アトリエの雑務などもすすんでこなします。
向上心も高く、自分の手が空いたときなどは、他の人の仕事を覗いて参考にしていたりします。
5人の中で二番目に若いのですが、実は一番人間が出来てるのは彼じゃないか、と思っています(笑。

こんな所で楽しく仕事をさせて頂いてます。
他にも何人か、気の向いた時に来たり来なかったりな人(どちらかと言うと自分のそっち系ですが)がいますが、
それはまた別の機会に。

ほいじゃまた。

オオシマヒロユキ

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