第04道「バンドデシネの分業制について」
ちわっす。今回はバンドデシネの分業制についてです。
フルカラー40~50ページ前後が基本のバンドデシネですが、基本は分業制です。
アメコミほど細かくはないですが、あまり触れられている書籍等も見た事なかったですし、どのように別れているかもう少し詳しく説明させて頂きます。
脚本家
シナリオを考える人です。こちらのシナリオの基本スタイルは、
ページにコマ分の枠を作り、
場所 シーン、キャラクターがどこにいるかの設定
動作 そのときキャラクターは何をしているか、どんな感情か、等
セリフ その時のキャラのセリフ
を指定します。
基本的にはアイデアさえあれば一番時間的束縛のすくない分野ですので、多くの作品を書く売れっ子さん、様々な分野で書く売れっ子さん(TV、映画など)、本業で生活を支えられるほど書かない人なら副業でやっている人も多いです。
自分の身の回りにはなぜか本業が学校の教師って人が多いです。
デシネター
いわゆる漫画家、作画家です。脚本家の書いたシナリオをもとにネームを起こし、白黒原稿までを担当します。
数年前までバンドデシネの基本は1ページをほぼ一定の大きさのコマで細かく割り、
一コマ事にほぼ必ずセリフが入る、
と言う物でしたが、最近は日本漫画ブームなどの影響でセリフのないコマや、大きなコマが増えました。
ですので、絵の上手さはもちろん、画面の構成力、演出力などがより求められるようになってきています。
基本アシスタントさんはいませんので、一日1ページかければ相当早い、とされています。
カラーリスト
白黒原稿をもとに色を塗る人です。基本1人で何作か担当しますので全体人数は一番少ないかもしれません。
デシネターによってそれぞれ白黒の仕上げの状態が異なります。
ですのできっちり線画を描いて来る人もいれば、ほぼラフスケッチとかわらないような、
正直「コレ原稿?」みたいな状態でカラーリストにまわす人もいます。
それぞれの作家にあわせて色の特徴をかえたり、場合によっては色を塗る事によって線画を補正したりと、彩色の技術や知識だけでなくある程度以上の画力も必要になります。
* * *
細かくわけるとアトリエ通いの作家さんは、同じ分野のアトリエの仕事ない若手をアシスタントに使う人もいますのでもう少し多いですが表に名前が出るのはこの三分野です。
長く売れている作品はこの三分野が完全分業になっている物が多い気がします。
安定して供給できますからね。
カラーリストを使わず自分で塗るデシネターさんも結構多いです。自分もカテゴリ分けするならこの二分野兼業型。
同じ二分野兼業でもカラーだけアシスタントを使う、なんて人もいます。
全部1人でやる作家さんももちろんいますが、多いとは言いがたいかもしれません。
いわゆる日本に輸入されるアーティスト系の人は三分野全て自分で、と言う人が多い気がしますが、その分1冊に2年とかかかる人もざらです。
以上、今回までで大体前置きの基礎知識説明的なものは終りました。
次回からはこっちへ来てから身の回りでおこったおもしろ出来事や、デシネ作家の日常みたいなものを中心にと思ってます。
ではまた。
【オオシマヒロユキ】
元相方・オオシマヒロユキの在仏日記を当ブログのコーナーとして連載(?)するというのは、この直前の記事のとおり...