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漫画原作者 猪原賽BLOG

「学園ノイズ」「悪徒」「放課後カタストロフィ」の原作者/ブロガーが告知したり漫画の作り方、関連ニュースをお伝えします

オオシマ フランス便り『ツール・ド・外道』第06道

ツール・ド・外道 オオシマヒロユキ

第06道「バンドデシネ Q&Aコーナー」

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ちわす。
突然開催、Q&Aコーナーです。
今次回作の準備中なんですが、出版社の返事待ちや脚本家さんのシナリオ待ちばかりでヒマなんです。
が、貯金もある訳じゃないので遊びに行く訳にもいきません。
この期間のじわじわ来るストレスは漫画家でもBD作家でも同じですね(笑。
プロジェクト自体はかなりの数の話が来てるのでどれかは近いうちまとまると思うんですが…。
ああ胃がいたい(笑。

というわけで新しい話もない事ですし、ご質問にお答えです。

質問1

主に作画家さんの話になってしまいますが、最近だとArthur De PinsさんやJérémie AlmanzaさんNicolas Nemiriさんが好きです。
Arthur De Pinsさんはエロチックなかわいい絵を描かれる大人気作家さんで、一時期は本屋に行くと彼のイラストがさまざまな本の表紙を飾っていました。
彼の可愛らしくてオシャレ、それでいて少しエッチなお話は日本でも受けそうな気がします。
Jérémie Almanzaさんはやはりデフォルメの効いた可愛らしい絵の方ですが、とても幻想的な雰囲気がありおもしろいです。
お話も幻想的で、絵本のような世界観のお話が多いですね。彼もやはり人気作家さんです。
Nicolas Nemiriさんは雰囲気のいいしっかりとした絵を描かれます。フランスのオシャレさがそのまま表現されているようなセンスのいい絵を描かれますね。日本の文化にもかなり興味がおありのようで、絵の題材にちょくちょく出てきます。
やっぱり売れっ子さんです。
Jérémie AlmanzaさんやNicolas Nemiriさんは日本の創作系の方々にも受けがいいんじゃないかな、と個人的に思います。

気になっているというレベルだとちょっとかき切れそうもないです。
すみません(笑。
日本人にはない構図や発想、デフォルメ、色使い、圧倒的な画力等、フランスの本屋さんに行くだけで絵が好きな人は楽しいんじゃないかな、と思います。
フランスに旅行予定の人は是非本屋さんのBDコーナー行ってみてください(笑。

あと、日本ではToppiさんの本が出たそうで、羨ましいです。私も大好きな作家さんですので、日本語版すごく欲しいです(笑。

 

■猪原による補足

Arthur De Pins

ちなみにこの方、アングレーム国際漫画賞「子供向け部門」でオオシマの『Crime School』と並んで『Zombillénium』という作品でノミネート、実際に受賞した方w

 

Jérémie Almanza

 

Hyper l'hippo

Hyper l'hippo

 

 Nicolas Nemiri

 

シェヘラザード ~千夜一夜物語~ (ShoPro Books)

シェヘラザード ~千夜一夜物語~ (ShoPro Books)

 

 Sergio Toppi

 

 質問2

かなり人気がある部類だと思います。
印象派の浮世絵ショックから始まり、クロサワ映画、
そして大友先生のアキラショックからアニメ、
漫画と様々な物が長い時間をかけて浸透していますから。
今でもパリの画廊さんでは浮世絵を窓の一番いい所に貼っていたりしますし、
大抵の本屋さんには漫画コーナーがあったり、
映画では今なら今村昌平監督、黒沢清監督、三池崇監督達などが人気でDVDも町で簡単に手に入ります。
テレビなんかでもよく、日本の文化や田舎の風習を特集した番組が放送されているのを見ます。
最近は数年前に水木しげる先生がアングレームの最優秀賞をとられた事で、妖怪ブームに火がつきました。
本屋に行くと妖怪の事を解説した本やBDがあるんです。
なかなかシュールです(笑。
逆に萌え系漫画やアニメは、日本での報道ほどは受け入れられていないイメージです。
一時期「侘び寂び萌え」が世界の標準語に、なんて報道があったと思いますが、それはすこし偏向報道がすぎるかな、といった実感。
HENTAIだけはどこ行っても通じますけどね(笑。

江戸時代やサムライを題材にしたBDもありますし、人気シリーズもあります。
中には日本人としてみると多少違和感をおぼえる不思議なオリエンタリズムの世界観の物も多いですが、私がお会いした作家さんの1人Klemさんは、明治大正の日本の合気道の話を白黒でかかれていました。
彼の作品を隅々まで見た訳ではありませんが、日本人がかいた、といっても遜色のない程細かい所まで調べて描かれていて大変驚きました。
様々な書籍やインターネットでの情報を参考に描かれたのだそうです。
それだけの参考資料が手に入るほどに、人気のある題材なのだと思います。
以前も少し触れましたが、日本の漫画の影響で大きなコマ割りやセリフのないコマ等、技術的な面でもかなりの影響を感じられます。
少年少女向けジャンルでは題材そのものに日本を使う事は少ないもののかなり漫画に近いスタイルの作家さんが多いですよ。

 

■猪原による補足

 Klem

 

 質問3

こちらでは作者没後に別作家が続編をかく、というのは珍しい事ではないようです。
もちろん、別作家がかいてでも続ける価値がある人気作品に限りますが。
あまり日本では知られていませんが、ヨーロッパではタンタンの次くらいに人気のある作品、
『スピルーとファンタジオ』にスピルー(Spirou)というキャラクターがいます。
余談ですが、ご質問のスマーフもこのスピルーを主題にした雑誌『Spirou』から生まれています。

この『スピルーとファンタジオ』は世代を超え、様々な脚本家、作画家によってかかれています。
中でもFranquinさんによる『スピルーとファンタジオ』は今でも人気が高いそうです。
Franquinさんは後にオリジナル作品でもヒット作、キャラクターを生み出し、日本で言えば手塚治虫クラスの超人気作家さんでした。
日本ではあまり知られていないのが惜しく感じます。

代替わりするたびにマニアックなファンの方々の中で様々な疑問や不満、不安があがり、シリーズを担当した作家により多少の人気、不人気シリーズの差はあるものの大抵の方々ははやはり興味をもって受け入れられ、新しいシリーズを楽しみにてらっしゃるようです。
スマーフには関わっていないので正確な事は言えませんが、やはり同じような感じではないでしょうか。
関連商品も本も今でも沢山出ていますから。

スヌーピーやムーミンはやっぱり人気がありますね。誰でも知っているキャラ、って感じでしょうか。
ただ日本と同じく、爆発的に売れる訳でもなく、じっくりうれ続ける、といった感じ。

ちなみに、ですが。私もこの『スピルーとファンタジオ』に関わっておりまして(笑。
漫画版『スピルーとファンタジオ』のパイロット版までかいた事があります。
その後大人の事情で今は無期延期状態ですが(笑。
これが発表された当時はフランス、ベルギーではもの凄い話題になりまして。
どれほどの話題かというと、あのディープインパクト凱旋門賞に挑戦する時期でしたが
現地の新聞ではディープインパクトが紙面の1ページをつかった記事に対し、
日本人がスピルーをかく、と言う話題で新聞の2ページ見開きで紹介されたのです。

まあ日本じゃ一行の記事にもなりませんでしたけどね(笑。

また何かご意見ご質問等ありましたらお気軽にどうぞ。
BD関連でもそれ以外でも、知っている事ならお答えします。

ではまた。

オオシマヒロユキ

 

■猪原による補足
Spirou und Fantasio 01. Der Zauberer von Rummelsdoirf

Spirou und Fantasio 01. Der Zauberer von Rummelsdoirf

 

これがFranquinによる『スピルーとファンタジオ』。

発売日が2003年・ペーパーバック。ペーパーバック版として再版されるほど人気があるいうことだろう。

作家が代替わりし、オオシマヒロユキのBD『Clime School』のシナリオ担当、JD Morvanも一時期『スピルーとファンタジオ』のシナリオを書いていた。

Spirou

Spirou

  • 作者: Jean-David Morvan,José Luis Munuera,Sonia Saura Martínez
  • 出版社/メーカー: Editorial Planeta Deagostini, S.a.
  • 発売日: 2008/04
  • メディア: Perfect
  • この商品を含むブログを見る
 

この巻は大の日本びいきであるMorvanの趣味が反映しており、多大に”日本”をフィーチャーしている。昔ながらの『スピルーとファンタジオ』ファンは、和服で日本刀構える主役二人を見てかなり面食らったと思う。

ちなみに猪原も渡仏前のオオシマも、この巻の作画のMunueraや、原作Morvanら BDアーティスト達が来日した際、江古田の飲み屋でお互い慣れない英語でなんとか酒を飲んだりラーメン食ったりしたことがある。懐かしいな。

 

ひそかに海外で活躍してたオオシマヒロユキのフランスのカラーコミックス(バンドデシネ)を紹介します - 賽の目記ポータルひそかに海外で活躍してたオオシマヒロユキのフランスのカラーコミックス(バンドデシネ)を紹介します - 賽の目記ポータル

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