漫画原作者 猪原賽BLOG

「学園ノイズ」「悪徒」「放課後カタストロフィ」の原作者/ブロガーが告知したり漫画の作り方、関連ニュースをお伝えします

中野ICTCOでマンガアワードプロジェクトトークイベント「漫画家の登竜門を再考する」見て来た

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仕事場として高田馬場コワーキングスペース「CASE Shinjuku」を利用しているので、すっかり昼間の時間帯は高田馬場っ子を気取っているわたくしです。猪原です。

が、私の住まいは中野。マンガ業界の関係者として、中央線酒場監視員として、中野にはなみなみならぬ思い入れがあります。

昨日は中野のビジネスマッチングスペース「ICTCO」にて、中野発信のマンガトークイベントが開かれました。

中野マンガアワードプロジェクト「漫画家の登竜門を再考する〜新人マンガ賞の意義と新たなプラットフォームの可能性〜」。

ゲストパーソナリティとして、

「うめ」の小沢高広先生、

IKKI編集部・豊田夢太郎さん、

マンガ関連イベントを手がける会社マンガナイト/レインボーバードの山内康裕さんの3人が登壇。

マンガ賞の過去と今、そして未来を語りました。

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出版社、雑誌のマンガ登竜門。各漫画賞の歴史と今を、実際応募してマンガ家になった立場から、またそんな作家を選ぶことになる編集者(と、選考委員のマンガ家)の立場から、語り尽くす1時間半。

特にインターネットがマンガの発表の場としてかなり大きな場所となっている現在、マンガ賞というものが必要なのかどうか。

そしてインターネット時代、変容していくマンガ賞というもの。

業界の内側にいるゲストだからこその「オフレコ」的なお話もあり、ここには書けないことや、逆にマンガが好きなら多少なりとも常識とも言える内容もあり、

どちらにせよマンガ業界は、雑誌・コミックスという紙媒体から電子化への波に流され漂い、まだまだ”過渡期”にある――”暗中模索”中であると言える状況だということがわかりました。

 

出版社・雑誌主体の「マンガ賞」から、マンガ家個人のKDP出版はじめ、インディーズとして稼ぐ場がネットや地域コミュニティに活路を得る方法、また「企業広告」としてのマンガ表現へ……

今後は作家自身でセルフ・プロデュースが可能であれば、いくらでも表現の場、カネを稼ぐ手段はある一方、

セルフ・プロデュースという「余計な作業」をしないで済む、今までどおりの出版社・雑誌との付き合いで仕事をしてゆく。そんな二者択一的な業界となっていくだろうというお話が興味深かった。

 

実際私は「猪原賽」として顔出しし、NewsACTという「ひとりメディア」を運営し、しかし作家としては知名度がイマイチ。

そんな状態で個人プロデュースしてもなかなか作品が認知されない状況。

私は自分でやりたい仕事のために、創りたい作品のために、そして創りつづけるために、まずは編集者と、作画家さんとタッグを組み、出版社という後ろ盾を得て、全国の少しでも多くの読者のために作品をお届けしたいな。

そしてそれと並走し、趣味の範囲で、商業雑誌ベースの仕事としてはこぼれてしまう物語を、そんなマニアックなものまで読みたいと思ってくれる読者に届けられるよう、インディーズという媒体も考えて行きたいな。

そんなふうに考えているのです。

 

さて、今回のトークイベントですが、そんなわけで「では、中野という地域からどのようにマンガを募り、選び、発信し、ビジネスとするか」――”中野マンガアワード”としての具体的な例や予定、計画は見えぬまま終わりました。

トークイベントは年末にかけてあと2回用意しているそうです。

時間を置き、回数を重ね、来年に向けての具体的なプランを練っていく――そんなスタイルのようです。

次回のトークイベントも拝見するつもりではありますが、あまり悠長な事も言ってられないんじゃないか。

連載の企画が立ち上がってはポシャり、連載が始まっても日々終了の宣告に怯え生きている業界底辺作家のひとりとして、私はずっとマンガというビジネスモデル、業界に危機感を持っています。

 

特定非営利活動法人中野コンテンツネットワーク協会 | ナカノプラプラ