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漫画原作者 猪原賽BLOG

「学園ノイズ」「悪徒」「放課後カタストロフィ」の原作者/ブロガーが告知したり漫画の作り方、関連ニュースをお伝えします

専業漫画原作者が教える「漫画原作者になる一番カンタンな方法」

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ブログのタイトルが、過去の「賽の目記」から変わっていることがおわかりでしょうか。
自分の作品の告知ばかりとなっていた当ブログですが、この頃会う人会う人に「漫画原作者って何やってんの?」と問われる事が多い上に、「どうしたらなれるの?」という質問も増えてきました。なのでココはそういった事を語る場所として、少し内容面でリニューアルすることにしましたよ。

私はブロガーとしても日々の「気付いたこと」をNewsACT(http://news-act.com)にポストしていますが、特にマンガに限っての雑文は、こちらのブログで書いて行こうと思います。題して「漫画原作者・猪原賽のマン語り!」。

1・ “なり方”より先に、漫画原作者とは何かをまず知ってほしい

1-1:「マンガ家」はすごい

「漫画原作者」とは、読んで字のごとく「マンガ」の「原作」を書く人です。

世間一般で言う「マンガ家」とは、ストーリーを考え(プロット)、コマを割り(ネーム)、マンガを描く(作画)という職業の人。八面六臂の活動は、とてもバイタリティにあふれた職業と言えるでしょう。

週刊で一人で「マンガ家」として連載している人など、完全にどうかしてます。論理的にストーリーを考える左脳と、感覚で絵を作っていく右脳を同時に、あるいは交互に使いつつ、毎週20ページものマンガを描く。もちろんそこには「アシスタント」と呼ばれるスタッフさんの協力あってこそ完成するとも言えますが、その船頭をするのは「マンガ家」ひとり。

「話」も「絵」も、自分ひとりでコントロールし、完成させる。

「映画」で言えば、脚本(ストーリー)、演出(ページ構成)、カメラ(構図)、役者(作画)、監督(総責任)を兼任する上に、製作者としてファイナルカット(仕上げて納品)する。ざっくり例えるとそういうことになります。

「マンガ家」とは、おそろしくバイタリティあふれる職業……というのがわかってもらえるでしょうか。

1-2:「絵」と「話」を分業する作家もいる

最近話題になったマンガ原作の映画『バクマン。』における主人公・サイコーとシュージンの役割分担で、そういう「コンビ作家」もいるのだと知った方も多いのでは?

今、日本に多くあるヒットマンガのほとんどが、マンガ家ひとりで生み出されたものですが、過去にはサイコーとシュージンのように「絵」と「話」を分業する作家の人気作品もありました。

例えば『子連れ狼』『あしたのジョー』『キン肉マン』『北斗の拳』。

ちなみに、上の4作品の中でひとつ、“仲間はずれ”がいるのがおわかりですか?

1-3:コンビ作家とは

上の例の中では『キン肉マン』が“仲間はずれ”で「コンビ作家」で作られたもの、と考えられます。
『バクマン。』におけるサイコーとシュージンと同じです。
2人の作家が「絵」と「話」を分業し、しかし「ゆでたまご」というひとつのペンネームでマンガをつくる。
これがコンビ作家です。

『キン肉マン』では「嶋田隆司*1(原作)」「中井義則(作画)」という2人の作家が、「ゆでたまご」という共同ペンネームでマンガをつくっています。
『バクマン。』のキャラクターでは、「シュージン(原作)」「サイコー(作画)」の2人が、「亜城木夢叶」というペンネームでマンガをつくっています。

『子連れ狼』『あしたのジョー』『北斗の拳』。この3作品は「原作」と「作画」が別れた「コンビ」であっても、「コンビ作家」ではありません。
ちょっとわかりづらくなりますが、『バクマン。』という作品そのものも、「コンビ」でつくったマンガですが、「コンビ作家」によるものではありません。

『バクマン。』という作品自体は、「大場つぐみ(原作)」と「小畑健(作画)」と役割は分担されているものの、必ずしも彼ら2人は常に同じ作品を作っているわけではなく、双方が別の作画や原作と組んで多くの作品を世に送っています。

同様に『子連れ狼』は「小池一夫(原作)」と「小島剛夕(作画)」が、
『あしたのジョー』は「高森朝雄(梶原一騎)(原作)」と「ちばてつや(作画)」が、
『北斗の拳』は「武論尊(原作)」と「原哲夫(作画)」が分かれていますが、その双方がまた別の作家と別の作品を作っています。

つまり、マンガ家と漫画原作者、それぞれがひとりの「作家」なのです。

余談・あの作家はどんなコンビ作家?

「コンビ作家」とひとくちに言っても、実は必ずしも「絵」と「話」に分業しているわけではありません。
例えば……

室山まゆみ(『あさりちゃん』)
室山眞弓(姉)と眞里子(妹)のコンビ作家。話は2人で考え、妹が下書き、姉がペン入れ担当。

藤子不二雄
藤本弘、安孫子素雄のコンビ作家。コンビ結成当時は話も絵も2人でかいていたが、徐々に「作品ごと」に別々にかくようになり、のちに「藤子・F・不二雄」と「藤子不二雄A」とコンビを解消。

PEACH-PIT(『ローゼンメイデン』)
千道万里(PEACH)、えばら渋子(PIT)のコンビ作家。主に千道がシナリオ・プロット、えばらがネームを担当。作画は作品ごとに違うが、2人とも作画もする。

オオシマヒロユキ+猪原大介(現・猪原賽=このブログを書いてる人です
オオシマヒロユキと猪原大介のコンビ作家。プロット、シナリオ、ネームにおいて共同作業、キャラ絵をオオシマが担当し、背景等の仕上げを猪原が担当。
のちにコンビ解消。オオシマは渡仏、猪原は日本に残って原作者に転向する。

以上のように、「コンビ作家」というのは、完全に運命共同体として作品を作り続けるチームでありユニット。単純に「絵」と「話」に分かれるものではないことが多く、そのためひとつの「共同ペンネーム」を使うことが多いです。

1-4:完全に分業すると「漫画原作者」が生まれる

「コンビ作家」ではなく、『子連れ狼』『あしたのジョー』『北斗の拳』の場合。
小池一夫、高森朝雄(梶原一騎)、武論尊……彼らは一人の作家として独立しています。

『子連れ狼』の小島剛夕とは別のマンガ家と組んで、『クライングフリーマン』(作画・池上遼一)を書く小池一夫。
『あしたのジョー』のちばてつやとは別のマンガ家と組んで『巨人の星』(作画・川崎のぼる)を書く梶原一騎。
『北斗の拳』の原哲夫とは別のマンガ家と組んで『ドーベルマン刑事』(作画・平松伸二)を書く武論尊。

そして、このブログを書いている私・猪原賽は、横島一、加倉井ミサイル、平尾リョウらと組み、その絵柄に合わせてマンガのストーリーを提供しています。

マンガを描くための、「話」ストーリーを、様々なマンガ家(作画担当)に提供する役割。これが「漫画原作者」です。

1-5:「漫画原作者」だけでは「マンガ」は作れない

彼らは、マンガをつくるための「話」を提供する役割を持ち、「絵」を描く作家の「話作り」をサポートします。

ここで注意したいことがあります。「漫画原作者」はマンガの「話」を作りますが、「マンガ」とは「絵」が描かれて初めて完成します。

「話」のみでは、「マンガ」以前の何か*2に過ぎません。

一方、「絵」を担当する「作画家」は、ひとりで「マンガ家」として立つことが出来ます。「絵」が描けますから、彼らがつくるものは「マンガ」なのです。

武論尊に「話=原作」を提供されるまでもなく、原哲夫はひとりで『猛き龍星』を描きました。
梶原一騎に「話=原作」を提供されるまでもなく、ちばてつやはひとりで『のたり松太郎』を描きました。
小池一夫に「話=原作」を提供されるまでもなく、小島剛夕は……小島剛夕に限っては、あまり個人でマンガを描くことはなかったようですが、多くの原作を元に様々な時代劇マンガを描きました。「絵」が評価され、画集も多く出版しています。

マンガ家は基本的にひとりでマンガ家であり、漫画原作者ともマンガを描くことが出来ますが、
漫画原作者はひとりでは、マンガを作ることが出来ないのです。

そんな「マンガ」というジャンルでは“弱い立場”にいながら、小池一夫、梶原一騎(故人ですが)、武論尊は、「漫画原作者」という作家として、専業で、長年活躍し続けています。
(私・猪原賽も、ヒット作に恵まれずとも、なんとか作家として専業で連載を持っています。)

さて、やっとここでこのエントリーの本論に入れます。

上まで述べた「漫画原作者」の立ち位置をおわかりいただいた上で……

あなたは「漫画原作者」になりたいですか?

2・「漫画原作者」になる一番カンタンな方法

2-1:結論を先に言うぞ

小説家になってください。

あるいは、

マンガ家になってください。

大穴としては、

あなたのサイコー(真城最高)を見つけて、コンビマンガ家のストーリー担当になってください。

2-2:小説家になれば漫画原作者になれる

ラノベでも、純文学でもいいんです。小説家として作品が売れれば、メディアミックスでその作品はマンガ化されます。

マンガの作品タイトルや、コミックスの表紙には、「原作:○○」とあなたの名前が記されます。

「小説」を書くことがすなわち「原作」を書くことになりますから、まず「小説」が売れ、マンガでも原作者としての印税が入ります。二重に印税が入りますから、専業漫画原作者よりも断然、収入が違います。

そして「小説家」というか、これはプロの文字のストーリーテラーになることも含めます。つまり「脚本家」もアリです。演劇にしろドラマにしろ映画にしろ、脚本家がマンガの原作を書いていることは往々にしてあります。

2-3:マンガ家になれば漫画原作者にもなれる

マンガ家になれば、マンガ製作のノウハウが身につきます。
私がこのパターンで「マンガ原作者」になりました。

マンガ家の仕事がわかっていますから、その「作画」前の段階までの作業を担当出来る、ということです。
「話」を考え「絵」を描くマンガ家。その「話」までの仕事を分断し、あとは「マンガ家」に任せる形。

これはベテランマンガ家にも多くあるスタイルで、「絵が古くなった」という市場の理由や、「絵が描けなくなった」という自己理由で、「話」まで作り、あとは新人のマンガ家に「絵」を任せるというものです。
あなたも懐かしい名前のマンガ家が、原作者としてクレジットされているマンガを見たことも多いのでは?

逆に描いてるマンガが大人気過ぎて、手が足りないのでマンガ家さんがスピンオフ作品の原作のみを手がける例もあります。(例えば『咲-saki-』と『咲-saki-阿知賀編 episode of side-A』の関係。)


【大穴】のコンビマンガ家になれば漫画原作者になれるというのは、このパターンの“派生”です。

かく言う私も、「コンビ作家」としてオオシマヒロユキにキャラ絵を任せていた。……が、オオシマが渡仏した。背景はともかく、自分の絵(キャラ)は描けない*3。よし、じゃあ原作者になろう、というのが転向の理由でした。

3・それでもあなたは「漫画原作者」になりたいですか?

【大穴】な手段を使って「漫画原作者」となった私・猪原賽。

「マンガ家」の仕事を理解しているからこそ、「漫画原作者」として様々なスタイルの原作を提供することが出来ます。
プロット、シナリオ、ネーム。

次回のエントリーでは、そんな実際の私が作る「原作」をお見せしながら、「漫画原作者」がかく「マンガの原作とは何か」をお伝えしようかと思います。

ここまで書いて来た「漫画原作者について」を読んでも、まだ純粋な「漫画原作者」専業になりたいという人がいれば、ぜひついて来てくださいw

俺は断然、まず小説家になることをオススメするんだけどなw

iharadaisuke.hatenablog.com

<続きはコチラです>

3-1:私の「漫画原作シナリオ集(電書版)」販売中です 

漫画原作のゲンバ (上)

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漫画原作のゲンバ (下)

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上巻は107円、下巻は215円です。「猪原式シナリオ」で書かれたマンガ原作と、それに対する横島一さんのネーム作例が収録されています。
「kobo」「iBooks」等、電子書籍サービス各社でも発売中です。

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3-2:言及した主な本

子連れ狼 Lone Wolf and CuB 全20巻完結  【コミックセット】

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あしたのジョー 全12巻セット (講談社漫画文庫)

あしたのジョー 全12巻セット (講談社漫画文庫)

 
キン肉マン 52 (ジャンプコミックスDIGITAL)

キン肉マン 52 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 
北斗の拳全15巻セット (集英社文庫―コミック版)

北斗の拳全15巻セット (集英社文庫―コミック版)

 
バクマン。 カラー版 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

バクマン。 カラー版 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 
あさりちゃん100巻配信記念 デジタル版限定 室山まゆみセレクション (てんとう虫コミックス)
 

*1:以下すべて敬称略

*2:ここで「何か」と書いたのは、後日詳しく書こうと思いますが、「マンガ原作」の提供の仕方には、大きく「文字」と「絵」に分かれるため。

*3:コンビ解消当時の私の背景はプロの仕事でしたが、キャラ絵は今も昔も、金を取れるレベルじゃありません。