漫画原作者 猪原賽BLOG

「学園ノイズ」「悪徒」「放課後カタストロフィ」の原作者/ブロガーが告知したり漫画の作り方、関連ニュースをお伝えします

マンガ家ご本人運営の無料マンガサイト「おくらのあな」本日オープン!プロマンガ家もセルフで活躍する時代が来る!?

f:id:iharadaisuke:20160115120631p:plain(画像はおくらのあなより)

漫画原作者の猪原賽(@iharadaisuke)ですこんにちは。本日、友人のマンガ家が自ら手掛けるWEBマンガサイト「おくらのあな」がオープンしましたので、お知らせです。マンガはこうやって作家が作品を自分で発信していく時代になるのでしょうか……?

マンガ家のお蔵出し!「おくらのあな」

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おくらのあなプレサイトよりキャプチャ)

「おくらのあな」は、マンガ家・いまいみほ先生と尾形未紀先生が運営する無料マンガWEBサイト。

毎月2回更新予定で
15日にいまいみほ、月末に尾形未紀が
それぞれの
“ほかのメディアでは読めない”作品を
発表します。

私たち以外にも、素敵なゲストの皆さんに
ここでしか読めない漫画作品を
発表していただきたいと思ってます。

 と、プレサイトでは予告され、赤星たみこ先生、有間しのぶ先生ら、おふたりのご友人であるマンガ家さんらから、応援メッセージが届いておりました。

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そんな「おくらのあな」は本日1月15日、オープン! まずは初回、いまいみほ先生の「こみみも小耳もみみのうち」という猫マンガの連載がスタート。それだけでなく、

びこたんと愉「怪」な仲間たち (怪books)

びこたんと愉「怪」な仲間たち (怪books)

 

 角川書店から発行されている今井美保(現・いまいみほ)先生のコミックス『びこたんと愉「怪」な仲間たち』の番外編も掲載されています。『びこたん〜』は妖怪マンガなので、先ごろお亡くなりになった水木しげる先生への追悼という主旨もあるようで……要注目のマンガです。

今後は月2回、尾形未紀先生の『負け田負け代』とリレー更新されていくそうです。もちろん閲覧は無料で、縦スクロールタイプなのでスマホでも気軽に読むことが出来ます。ぜひ読んでブックマークしてみてくださいね。

おくらのあな

http://okranoana.com/

セルフでなんとかするマンガ家達

プロマンガ家が、自分の手でなんとか作品を読者の手に目に届ける活動を、最近よく見かけるようになりました。

最狂 超プロレスファン烈伝 4.5

最狂 超プロレスファン烈伝 4.5

 

 徳光康之先生は、絶版になった自分の過去の作品を自らKindle化。『最狂超プロレスファン烈伝』等はコミックス未収録分も含めた再構成をして、これまでのコミックスをお持ちの方でもついつい買っちゃう電子書籍に自ら編集、発売しています。

10年以上も連載が続いているのに、コミックスが出ていない謎の名作『解体屋ゲン』(漫画・石井さだよし/原作・星野茂樹)も、つい先日無料で読めるアプリ化! 当初はiOSに限ってのアプリでしたが、現在はAndroid版もDLできるようになっています。

オーバーペイントRe:PAINT

オーバーペイントRe:PAINT

 

そしてこのブログを書いている漫画原作者・猪原賽は、過去、横島一さんと組んで発表したコミックス未収録作『オーバーペイント』を、新たに設定から見直した完全描き下ろしの新作も抱き合わせて『オーバーペイントRe:PAINT』として、自らKDPでKindle化。

ですが、こうしたマンガ家がセルフでマンガを発表することは「大いなる責任が伴う」。無編集で描いたままのマンガを出すことは、出版社や編集部のフィルタがかからないということ。また、自身でWEBサービスと立ち上げるとなれば、そのスマホ対応やSEO対策、WEBサイトとしてのクオリティも大事。そして何より、こうしたことやってますよ! と自ら告知できるプロモーション力も大事になってきます。

プロは、どんな場所であっても、読者にはプロの仕事を見せねばならないのです。

WEB投稿で「プロの犯行!?」を期待

そんな責任感伴うプロにならずとも、多くの漫画投稿サイトが林立し、アマチュアマンガ家は、WEBでマンガを発表していますよね。ヘタなプロより人気が高まってファンが多く付いていたり。またそこから、プロへの道に入って来る作家さんもいます。
プロを目指すなら、逆に雑誌に掲載されることを 目標に投稿し続けるより、WEBで発表したほうが、多くの読者の目に触れる……という事態は、確かに発生して来ています。

スマホ特化のcomicoチャレンジ、昔ながらのスタイルを守りつつWEBサービスとしてしっかり閲覧数を稼いでいるマンガボックスインディーズ、ジャンプブランドの強さがある少年ジャンプルーキー。
さらにそこにニコニコ静画や、イラストSNSとして一日の長のあるpixiv……、マンガを無料で投稿し発表する場は数多い。

もし、プロのマンガ家がそうしたWEBサービスのシステムを使えば、作品を気軽にWEBに発表できる。別のペンネームでも、匿名でも。
プロモする必要も多少必要ですが、無料のマンガが並ぶWEBサービスの中で、プロの仕事は目立つはずです。SEOも何も関係なく、ただシステムを享受すれば、マンガを発表できる。めんどくさいKindleやkobo、電子書籍の登録や実際作る手間も不要。

今後、そうしたWEBマンガサービスで「プロの犯行」と呼ばれる事案が多く発生するんじゃないかと、私は密かに予測しています。*1

余談・マンガ図書館Zのアップロード機能

そうそう、私が『学園ノイズ』や『下町狂い咲きキネマ』を提供しているマンガ図書館Zも、プロの絶版マンガ・未単行本化作品に限らず、一般からのマンガ投稿を受け付けてるんですよ。知ってました?

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マンガ図書館Zのトップページ、右部の「アップロード」。ここでは絶版になった過去作の自炊データをお持ちの方が、そのデータをアップして投稿することが出来ますが、オリジナルの自作のマンガのアップロードもできるんですよ。

もちろん、掲載されているプロの作家さんの作品同様、読者が閲覧した時の広告収入は、100%アップロードした作者のものです。

マンガ図書館Zのマンガアップロード機能は、

  • 絶版マンガデータを一般から投稿受付→作者の確認→権利者確定・公開開始という流れ
  • アマチュア作家のオリジナル作品を投稿→公開開始という流れ

の2つが、同じ「アップロード」ボタンで対応されているため、ちょっとわかりづらいんですが、comicoチャレンジ、マンガボックスインディーズ、ジャンプルーキー、ニコ静やpixiv以外にも、こんな選択肢あるよ、とお知らせです。なんたって私は「マンガ図書館Z」の公式作家ですからね。もっとこの機能、みんなに知ってもらいたいなあ。

マンガ図書館Zのアップロード機能についてはこちらを参考くださいな。

*1:同人出身で、同人活動とプロを並行させている作家さんはまた別の話、ですよ。同人と縁のなかった、純粋に商業マンガを描いて来たプロの犯行を期待したい、という話です。