漫画原作者 猪原賽BLOG

「学園ノイズ」「悪徒」「放課後カタストロフィ」の原作者/ブロガーが告知したり漫画の作り方、関連ニュースをお伝えします

マンガを描くほうの漫画喫茶・高円寺「漫画空間」行って来た

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こちら店長の現役マンガ家・深谷陽先生です。

深谷先生が店長の漫画喫茶「漫画空間」に行って来ました。

ウェブはもちろん、今朝、朝日新聞にも取り上げられたというこちらの漫画喫茶。

実は漫画を読むのではなく、漫画を描くほうに特化された漫画喫茶です。

とはいえ描かなくてもOK。読む漫画も揃っています。

そのコンセプトキャッチコピーは、

「読める!描ける!広がる!マンガ仲間のふれあいCAFE」。

うん、ここは”新しい”。

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本店は名古屋にある「漫画空間」。先日JR高円寺駅前北口に東京支店1号店がオープン。

駅前ロータリーからもこのように見える駅至近の立地。

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このビル、看板が目印。

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ビル前にはこんな立て看板も。

深谷先生はこの漫画空間高円寺店の店長をしながら、実際ココでご自身の漫画の作業もなさってらっしゃるようで、プロマンガ家のナマ作業が見られるというのも「漫画空間」のウリのひとつ。

階段を上がって2階へ上がると……

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こちらが入り口。だいたいの料金も書いてありますね。

最低時間と料金は1時間で600円。コーヒーor紅茶付きです。

入ってみましょう。

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店内にはこのように1人用のテーブルが並んでいます。

喫茶店ですが「お一人様」に特化された店内設計。

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こちらの席はアナログの作業用のテーブルになっています。デスクライトが設置され、一人でもくもくと作業なり読書なりが出来るスペース。

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もちろんデジタル環境にも対応しています。

4席あるPCデスクスペース。

タブレット完備のPCデスクは、コミスタ対応席が3席、Photoshop対応席が1席。

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ペン(アナログ)席とPC(デジタル)席で料金体系は若干違います。

ペンは2時間まで600円/1h、3〜6時間までは100円/30min、6時間以降は200円/30minと、長居するほど優しく、長居し過ぎるとやや高くなるシステム。

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手ぶらで来ても大丈夫な、基本的なマンガを描く道具は無料レンタルされています。

ペン、定規、インク、筆ペン、ホワイトはもちろん、

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トレス台も2台、貸出用に用意されています。

(新品のペン先等、一部は有料。)

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コピー機は5枚以上は有料。カラーコピーも対応し、デジタル席での利用用にスキャニングやプリントアウトにも対応しています。

(スキャンは無料とのこと。)

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背景資料ほか、作画用資料も並んでいました。

 

ここまでマンガを描く道具が充実していても、マンガを描く人、プロマンガ家さんしか来てはいけない、というわけではありません。

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店長である深谷陽先生の作品を始め、読書用のマンガも店内に並んでいます。

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深谷店長「まだまだマンガ蔵書は少ないですが、利用者の方に、オススメのマンガを置いてもらうというのも考えています」

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ここが冒頭の写真にもあった深谷先生のデスク。

自らの原稿をここで描いていたかと思うと、食器の片付けを始めたり、その仕事量は多そうで……(笑)

 

――大変そうですね。

深谷店長「でも、私もここで作業出来るようになって良かった事もあるんですよ」

――と言うと?

深谷店長「今までアナログで原稿を仕上げていたんですが、今回からここのPCを使って仕上げる事にしましてね」

――ああ、いいですねそれは!

 

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このデカいペンタブレットとPC。私はデジタルはおろかマンガを描くことすら止めたマンガ原作者ですのでその性能は見ただけではわかりませんが、デジタルのユーザーに対応する為にあつらえたPCが、そうそう悪いPCとは思えません。

 

そう深谷店長とお話をしているうちに、扉がカランカランと鳴り、新たなお客さんが。

そして迷うこと無くPC席に座り、もくもくとマンガの作業を始めました。

 

最近はかなりデジタルで作業をするマンガ家さんが増えましたし、同人まで見渡すともうアナログのほうがマイノリティな気がします。

個人的な意見を言わせてもらうと、PCのデジタル席はもっとあって良いように思いました。

(深谷先生もこのPC席を使うとなると、さらにPC席の需要はあると思いましたね。)

 

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そんな事を考えながら、私はアナログのペン席で今日はネームの作業。

5時間ほどお世話になり、『H2O』のネームの最終作業をしておりました。

途中コーヒーのお代わりをいただき(200円)、しめて2,000円。

長居すればするほど料金がかさんでいくシステムですから、その集中力と言ったら半端じゃありませんw

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ちなみにコーヒーと紅茶以外にも、冷蔵庫に入っているペットボトル等のジュースもコンビニと同額で販売されています。

また店内は禁煙ですが、

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店の窓から見下ろせば、そこは高円寺駅前ロータリー。

喫煙所があります。タバコを吸いたい方はちょっとお店を出て、そこで吸えば良いのです。

 

また、こういう場所にありがちな「公衆無線LAN」はありません。

デジタル席のPCは有線でインターネットに繋がっているそうですが、アナログペン席に座ると、自前のPCを持って来てもネットは出来ない事には注意されたし。

(作業が捗らないからインターネット禁止! なんてルールがあるわけでもなくw、Wi-Fiルーターも持ち込めばいいのです。)

 

――深谷先生、今日はありがとうございました。今日も利用者の方が多く見られましたが、皆さんプロマンガ家さんだったりするんですか?

深谷店長「いえ、毎日誰か一人はプロマンガ家さんがいらっしゃるくらいで、アマチュアの方やマンガを読むだけ、または見学のつもりで、という方が多いですよ」

――先日は島本和彦先生がいらっしゃったとか。

深谷店長「島本先生が東京にいらっしゃる用事があったとかで、お立ち寄りいただきましたね」

――仕事の能率も上がるし、刺激にもなるし、大変いい時間を過ごせました。

深谷先生「また来てください」

――はい!

 

と、軽く取材的な話をしただけでなく、実はお互いプライベートの共通の友人がいることが発覚したり、本当に楽しい時間が過ごせました。

私が仕事をしている間も、深谷先生は他のお客さんに自分の原稿や作業を見せたり、普通にレンタル備品の調整をしたり、マンガ家としての顔と店長としての顔が混在し大変そうだなとも思いましたが、そんなプロマンガ家がネームに意見をくれたり、似顔絵を描くサービス(有料)もあり、普段滅多に出会えない・見られないプロマンガ家と必ず接することの出来る「漫画喫茶」。

そしてそこに集まるお客さんは当然、マンガを描くなり読むなり、スタンスはどうあれマンガを愛しているはず。単に同じ場所を共有するだけでなく、話し、触れ合い、仲良くなることはきっとカンタンな場所。

そして何よりきっと、マンガを学べる。

これは確かに、

読める!描ける!広がる!マンガ仲間のふれあいCAFE」。

読者としてもマンガ家としても、この距離感はうれしい場所なんじゃないでしょうか。

 

漫画空間(高円寺店)

http://www.mangakukan.com/

 

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