漫画原作者の猪原賽です、こんにちは。
紙とペンのアナログ派マンガ家さんはともかく、パソコンで仕事の出来るデジタル派のマンガ家や、原作を書く小説家やシナリオライターは、こういうところで働くと仕事が捗るよ、という話です。
コワーキングスペースで働くということ
2年通う「CASE Shinjuku」が日々変わっていく様
私は日々「コワーキングスペース」と呼ばれるスポットで仕事をしています。場所は高田馬場「CASE Shinjuku」。
私はマンガの原作を書く以外に、中央線ライフを伝えるブログ「NewsACT」を運営執筆していますが、なぜか「高田馬場」ネタも多い。それは私が、昼間の時間、高田馬場にあるコワーキングスペース「CASE Shinjuku」で仕事をしているからです。
高田馬場のランチや、周囲から入る情報が多いからです。
もうまるまる2年、私は「CASE Shinjuku」の会員で、平日のほとんどをここで過ごしています。
先月11月末に、こんな扉が付きました。
こちらが2年前のCASE Shinjukuです。変化は一目瞭然ですね。
この扉は……
このように開き、これまで単なる広いスペースだったものが、場合によっては個室使い(ちょっとした会議や、セミナーや、少人数向けのイベント)が出来るようになったのです。
そんな施設紹介していても仕方ありません。コワーキングスペースの話です。
コワーキングスペースとは
1時間500円、最大額2,000円で一日中いられる「仕事をする場所」。(CASE Shinjukuの例。コワーキングスペースと呼ばれる各店によって値段設定は様々です。)壁が仕切られているわけではなく、カフェの延長上にありながら、
- 電源完備
- Wi-Fi完備
- フリードリンク(水・湯・お茶・コーヒー)
カフェと自習室の間にあるようなスペース。それがコワーキングスペース。
CASE Shinjukuでは、フラッと来れば時間制ですが、平日、9時〜21時までの営業時間をまるっと自由に出入り出来る月額コースもあります。(月額会員:税込16,200円)
喫茶店のようでありながら、会員それぞれが仕事をする席は、やや近。これがイヤだ、という方もいらっしゃるでしょうが、逆にこんな距離で毎日、同じ人達と顔を合わせるんです。自ずと会話が生まれ、仲良くなり、場合によっては仕事のコラボが生まれたりもするんです。
コワーキングスペースを利用する職種は様々ながら、基本的にフリーランスの方が多い。そしてプログラマーやデザイナーが多いです。
そんな中で、私のような作家が仕事をしているのは極めて稀ですが、いろんな方と出会う機会は、家にこもって仕事をしていたら、絶対ないこと。この“刺激”が、なかなかに創作意欲を高めるんですよね。マンガ業界だけに居たら、見えないことが見えたりもする。
営業時間があるから昼型になり“集中”する
マンガ家や作家は、自宅で仕事をしていると、ついついだらだらとしがち。夜じゃないと集中出来ない……と、夜型生活に陥りがちでもあります。実は私もそうでした。朝まで仕事をがんばって、朝に寝る。昼過ぎに起き、だらだらしているうちに、夜。
そして再び朝まで仕事……。
それを打破するために、ネームはファミレスでします。喫茶店でします。なんてマンガ家さんも多いですが、すると当然、長居は出来ませんよね。何軒かのカフェをハシゴすれば、コーヒー代もバカにならない。
その点、コワーキングスペース(CASE Shinjukuの場合)は、時間制で、居放題。仕事をする「スペース」ですから、長居しても構わない。電源完備、コーヒーお代わり自由。
朝9時〜夜9時までの営業なので、月額会員ともなれば、その払ったお金分めいっぱい有効活用してやろうと、できるだけ朝に来るようになる。
夜9時まで働き、営業時間終了。仕事が残っていれば自宅ですればいい。ですが、その家路。これもまたミソで。
朝早くからCASE Shinjukuに来るために、朝起きる。家を出て、会社員でもないのに擬似的に出勤する。仕事が終われば……言ってみれば退社です。これがけっこう「仕事のオン・オフ」感を演出し、アタマの切り替え、生活のリズムというものが生まれたんですよね。
おかげで、最近は自宅でほぼ仕事をしなくなりましたが、夜寝て、朝起きる。仕事に行く。帰って来て寝る。このリズムは間違いなく、コワーキングスペースに通うようになって身についたものです。……ま、深夜のホットタイムにTwitterなど、まったく流れを追えなくなりましたがw
“会社”じゃないから、いつでも環境を変えられる
事実、こうしたリズムや仕事の能率のために、CASE Shinjukuの門を叩いた"マンガ家の卵”さんがいました。
1年前、イブニングの新人賞、優秀賞及び日本橋ヨヲコ特別賞を受賞した、高橋すぎなさん。
彼女は他誌でも活躍し、ビッグコミック・スペリオール9月25日号には、読切『鈴木さんの煩悶』を掲載。現在は某先生のアシスタントをしながら、新作掲載に向けて日々ネームと格闘中……な様子が、ここCASE Shinjukuで見られました。
デジタルアシスタントなので、ノートPCとペンタブレットを持ち込んで、マンガを描いていたんですよ。そういうことが出来るんです。コワーキングスペースでは。
ただ、高橋さんは多忙になり、自宅との往復時間を考え、自宅近くの別のコワーキングスペースへ“乗り換え"を決意。コワーキングスペースは、あくまで「スペース」。
会社都合でも何でもなく、個人都合で、ほいほい色んなところに行っていいんです。そしてまた、新たな人との出会いや縁が広がっていく。
環境を変えたい。ただその一言で、それこそ日本全国、PCひとつで、いろんな土地のコワーキングスペースを飛び回ることさえ出来るのです。
道具がたくさん必要で、アシスタントさんも多く抱えるマンガ家さんにはオススメ出来ませんが、CASE Shinjukuに限らずコワーキングスペースという環境が、デジタルで、ひとりでマンガを描いてる人にはオススメな場所であること、わかってもらえるでしょうか。
PCひとつさえあれば仕事の出来る、ライターや小説家にも向いた環境であることも、当然わかってもらえますよね。(必ず必要な大量の資料が自宅にある方を除く)
私も、2年前の今頃、まったく捗らない仕事をどうにかしたくて、ここCASE Shinjukuを訪れました。
そんな体験をブログに書いたところ、高橋すぎなさんはCASE Shinjukuに来ました。彼女はもうここを去りましたが、私はここCASE Shinjukuに限らず、コワーキングスペースを利用するマンガ家や原作者、業界関係者が多くなるといいなと思っています。
ソファで昼寝も出来ますw
「CASE Shinjuku」について
実は24時間働ける!
私の働くコワーキングスペース「CASE Shinjuku」は、実は24時間営業のシェアオフィスも兼業しています。
固定ブースはそれぞれ、ひとりで会社を運営する個人事業主の方が多く入っています。(月額48,600円〜)
固定ブースは高い……という方には、同様に24時間使えるシェアデスク(つまり、早い者勝ちな席)もあります。(月額27,000円)
こちらの「シェアオフィス」は会社登記が出来るという利点があり、たったひとりで事業を興した個人事業主さんの利用が多いです。私は登記など関係ないただの作家ですんで、こっち側のメリットをあまりないので、ずっとコワーキングスペース側を利用しているのと……
24時間使えると、自宅でダラダラしてしまっていた過去を思い出すんですよw なんかここに居着いて、結局また夜型に戻るのでは……と。なので、朝“出勤"して夜“帰宅”するリズムを守るために、コワーキングスペースを利用し続けているわけです。
このブログを読んでくれてるマンガ家の皆さん。ライターの皆さん。作家の皆さん。
こういう働く環境もある。私が根城にしているここCASE Shinjukuに限らず、全国各地にコワーキングスペースというものはあります。
こういうところで働くという選択肢、持ってみてはいかがでしょうか。すんげえ捗りますよ!
そして、ここCASE Shinjukuで……下の本を書きました!
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