漫画原作者 猪原賽BLOG

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「ヤングマガジンサード」が読者アンケート廃止!?「読者アンケート」編集部判断の仕方のイロイロ

f:id:iharadaisuke:20160306111200j:plain漫画原作者の猪原賽(@iharadaisuke)ですこんにちは。とあるマンガ雑誌が「アンケートを廃止」するとして話題になっています。先日マンガ雑誌のアンケートの項目の話をしたばかりなのに……!w

ヤングマガジンサード:講談社のマンガ誌が読者人気アンケート廃止 異例の決定 - 写真特集 - MANTANWEB(まんたんウェブ)

  講談社のマンガ誌「ヤングマガジンサード」が、読者人気アンケートをやめることを5日、明らかにした。マンガ誌は、アンケートを元にして作品の優劣、連載の継続を決めるのが普通。廃止の理由について、「ヤングマガジンサード」チーフの村松充裕副編集長は「どの雑誌でも起こっていることですが、コミックスの売り上げとアンケートが一致しなくなったため」と話している。

私自身、アンケートとコミックスの売り上げの結果の乖離に泣いて来た作家のひとり。
逆にコミックスの売り上げが良いのにアンケートは悪い……という作家さんもいます。(そして当然、そうした作品のほうが息は長いです。)

ただし、「ヤングマガジンサード」は完全に読者の意見は無視するというわけではなく、ツイッター等WEBでの反応を見ていくそうで…

今後はツイッターを活用し、同誌のアカウントをフォローして、ハッシュタグを付けて感想をつぶやいてもらい、抽選で毎月10人に希望する同誌の作品の QUOカード(500円)をプレゼントする。また並行して、インターネットでの情報取得を行い、数人の「目利き」に毎号の感想をもらって編集部で共有する という。

アンケートというシステムには良い点も悪い点もあります。コミックスの売り上げと一致しないとは言え、その数字の「読み方」にも、雑誌・編集部によっていろいろノウハウがあります。

どこ、という具体的な名前は出せませんが、

  •  「面白かった順番に」1位が3点、2位が2点、3位が1点とする
  • 「面白かった順番に」関係なく、すべて1点とする

というちょっとした得票ポイントの扱い方の違いから、

  • 「面白かった/つまらなかった」は両方得票とする

編集部もあります。これは面白いともつまらないとも思われない、空気のような読まれない作品を振るい落とす数字の数え方ですよね。

アンケートを実施していても、あまり参考にしていない、とおっしゃる編集長さんもいらっしゃいます。そこはもう、部下の編集者や作家の力を信じ、自分がその力量を測れるという自信があるということでしょう。

なので、実はこの「ヤングマガジンサード」のように「やめます」と公言しないまでも、アンケートがアンケートとして機能していない雑誌が他にもあるかもしれませんよ。

ただ、今回の「ヤンマガサード」のアンケート廃止表明に対して私が懸念するのは、ネットや識者(ネット界隈で言うところの「マンガ読み」のことでしょうかね)に意見を委ねるのも少々乱暴で、アンケートと同様「コミックスの売り上げと一致しない」結果は同じなんじゃねえかとも思うんですよね。
それはもう、カルト的な熱心なファンに支えられている打ち切り連発作家としての私・猪原賽の“体感”でしかないんですがw

まあ、アンケートとコミックスの売り上げが一致しないのはもはや事実。読者の反応をアンケートひとつで測ってる場合じゃない、という意味では、こうした試みに水を差すつもりはありません。今までのシステムをスッパリ捨て、いろいろやって探ってみるのは良いと思う!

最後に、私のアンケートとネットの評判と売り上げが一致しなかったコミックスを羅列して終わります。また。

[まとめ買い] 悪徒-ACT-
 

 [まとめ買い] 悪徒-ACT-

『悪徒-ACT-』は連載が終わってから「何で終わった!?」とのネットの声を多数いただきました。

ガンロック 1 (少年チャンピオン・コミックス)

ガンロック 1 (少年チャンピオン・コミックス)

 

 ガンロック 1 (少年チャンピオン・コミックス)

『ガンロック』はアンケートはそう悪くなかったんですが。

■【前回のエントリー】ビッグコミック・スペリオールのアンケート項目について

マンガを描く時は「雑誌で一番印象的なコマ」を意識しよう!―「面白い/つまらない」だけでは済まないアンケート項目にビックリ - 漫画原作者 猪原賽BLOG