漫画原作者の猪原賽(@iharadaisuke)です。ここ最近チェックしてたマンガ関係のはてブにちょこっとコメント添えたいと思います。特にマンガのセリフは極力削る・短くするべきという事について。
はてブとTwitterからマンガ関連ブックマーク
立川まんがぱーくお泊りイベントのお知らせ。
立川まんがぱーくは、漫画原作者として、マンガ関係者として、そして単なるマンガ読みとして注目するマンガスポット。
お泊りイベントは18歳以上(高校生不可)に限られ、普段は泊まれる場所ではないので当日過ごすルールが多いですが、ちょっと面白そうなイベントですね。
マンガを盛り上げようとするユニット「マンガナイト」が関わっており、深夜のイベントも予定されているよう。マンガナイトだけに、マンガと共にマンガのテーマパークでどんな夜を過ごせるのか、ちょっと興味あります。
申し込み期限は今月いっぱい。
ameblo.jp
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この2つは、匿名の漫画編集者Mさんのブログより。漫画原作者を目指す方にも、マンガ家を目指す方にも、こちらのブログは全般的に興味深く、役に立つテキストに溢れています。ぜひ参考にされたい。
私のような底辺漫画原作者の体験談よりも、よっぽど役に立ちます。
特に「セリフは少ないほうがよい」というテーマの後者のエントリー。
絵の邪魔をしないように最小限にする
(略)
「ネーム(セリフ)も絵のうち」という言葉もあります。
極力、だらだらとした説明的なセリフは書かずに、テンポが良くて小気味よいセリフを書くように心がけてください。
ここ、大事ですよ。
セリフに関しては、はてブではなくTwitterからの引用ですが、こんな話題もありました。
大分前にした「新人はモノローグと回想を禁じ手に」というツイートが今でも頻繁にリツイートされてるようだ。もちろん賛否両論あるでしょう。でも新人の作品にはあまりにもこの二つが多い。
— 島田英二郎 (@asashima1) 2016, 2月 14
「禁じ手」というのは「なるべく控えたら」という程度の意味ですが、私は基本的に言葉というものをあまり信用し過ぎないほうがいいと思っています。言葉はものすごく力のある道具。だからつい使ってしまうが所詮は道具に過ぎない。用途は限られるし限界もある。
— 島田英二郎 (@asashima1) 2016, 2月 14
特別な演出意図さえあれば回想もモノローグもどんどん使っていいんだけど…楽だからって使っちゃう新人が多いんだよなぁ。>RT
— 樹崎 聖 Kisaki Takashi (@saintkisaki) 2016, 2月 14
マンガは、第一に「絵」です。セリフはそれを補完するもの。モノローグに頼ると、すべてを文字に語らせてしまって、マンガとしてはバランスが悪くなります。
字幕の外国映画は、視線があっち行ってこっち行って集中できない、という言説もありますが、それに似ていますね。
また、「セリフも絵」というのは確か小池一夫先生の言葉だったような気がします。
「なンだって?」「そンな話があったのか」
小池メソッドである「ン」が、ビジュアル的なインパクトを意図したものだと確か著書の中で述べていたような。
キャラクターはこう活かす! (スーパーキャラクターを創ろう 小池一夫のキャラクター実践論)
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キャラクターはこう創る! (小池一夫の漫画学―スーパーキャラクターを創ろう)
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■この3冊のどれかで「ン」について語っていたと私は記憶しています。
もちろんそれを意図的に使う方法や表現もあるわけですが、モノローグで語るくらいの心情は、絵に語らせるべき。
そしてセリフはその表情を補完するガイド的なくらいでいいんです。ただし、その短いセンテンスに、そのキャラならではのキャラクター色が付いていないと、作者の意図どおりの心情は伝わらないし、グッと来るセリフにもならない、というわけですね。
なお、桂正和先生は『電影少女』において、「意図的にモノローグを多くした」という発言をどこかでされていたように記憶します。これまでの絵柄からリアル路線にシフトさせたこの作品は、どんなに長いモノローグだろうと、それに負けない生々しいキャラ絵やどっしりした背景画がありました。
そうカンタンに同じマネが、新人さんマンガ家志望者さんには出来るとは思えません。桂先生の脅威の筆致がそれを許す場合と考え、マネしようとなんて思わないようにw*1
とにかく、セリフは削る! 絵で語る! でもキャラを引き立てる短く印象的なセリフがないと印象に残らない。マンガのセリフとは、かくも難しいものなのです。
togetter.com
こちらはマンガとはちょっと外れますが、出版関係のトゥギャッターから。前半の「nicola」ヒットまでの話題はともかく、後半の「アントニオ猪木自伝」に、編集者として営業部とやりあった体験談が興味深かったのではてブしときました。後半を。
マンガのセリフのあり方について、私も語っています
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セリフが大事、セリフは短く、それはマンガだからこそのテクニック。
この中の第三章・原作付きマンガにおけるマンガ家が陥りやすい「失敗」とその理由では、こうしたマンガにおけるセリフの性質と、文字のみのシナリオ・小説原作とのセリフの性質の違いを解説しています。ご興味あったらぜひご一読を。
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*1:なんて書きながら、桂先生の“意図的”な意味を私が取り違えているとちょっと恥ずかしい。どこでどう発言されてましたっけね……。