漫画原作者 猪原賽BLOG

「学園ノイズ」「悪徒」「放課後カタストロフィ」の原作者/ブロガーが告知したり漫画の作り方、関連ニュースをお伝えします

【マンガニュース】Google Playマンガ・ストアがリニューアル!Googleさんも縦スクロールマンガを導入…ってコレ…??

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漫画原作者の猪原賽(@iharadaisuke)です、こんにちは。今朝、目を覚ますと、iPhoneにGoogleからのお知らせメールが届いていました。Google Playのマンガ・ストアがリニューアル。そこには「縦スクロール」という文字も見え、えっと驚きました。

 縦スクロールマンガってこうだよね?

iharadaisuke.hatenablog.com

「縦スクロールマンガ」については、私は以前こちらのブログで書いています。
リンクを貼っても誰も読みに行かないでしょうからw、結論の部分をこちらに転載します。

私はこれまでの紙の世代のプロ作家として、こうした新たな「マンガの姿」を、「マンガじゃない」「未熟だ」とDISるのはカンタンです。ですが、あまりにも惜しい読者、惜しい市場。

未熟なコンテンツが氾濫し、有象無象の中から、新たな形の「マンガ」「プロマンガ家」が生まれている。隠れた大きな読者市場を獲得している。そこには、これまでのプロマンガ家だからこそ挑戦し、食い込める“隙”があるのでは、とやきもきしてしまうんです。
例えばAppleやGoogleの規制があるなら、その規制をどうかいくぐるか。それがプロの仕事の見せ所……じゃないですか?w

ウェブトゥーンの未来は、まだまだ未知数かもしれない。けれど、確実に日本というマンガ文化の成熟した社会では、縦スクロールマンガはまだまだアリ、これから掘り起こせるものなのではないかと。

我々紙のマンガ世代のロートル作家も、まだまだ若者相手に、やれることはあるのではないでしょうか。
それがまた、これから縮小していく日本という市場を超え、世界戦略に繋がる、日本のマンガ業界の風穴になるかもしれませんよ。

 ……で、おお、Google、縦スクロール対応する手段に出たか! と朝から驚いたわけですよ。で、さっそくGoogle Playに行ってみる。試しに無料のコミックスをDLしてみる。
……うん、普通のマンガだな。普通にコミックスを電子化し、ページを繰るタイプだな。どうした、縦読み。対応していないのか。おかしいな。
そんな時はグーグル先生に聞いてみよう! どゆこと!? マンガ・ストアはどうリニューアルされたの!? 縦読みマンガはどこにあるの!?

厳密に言えば縦スクロールマンガ(ウェブトゥーン)式マンガではなかった

k-tai.impress.co.jp

その新しいGoogle Playマンガ・ストアに関しては、ここを紹介すれば良いでしょう。さすがにGoogleさん、ニュースリリースを流しているので、ほかのサイトでも同様の文面・内容が多くあると思いますが……(以下引用)

 Androidでは、従来通り「Google Play ブックス」アプリで、購入したコミックを読める。端末を横向きにした上で、1ページを横幅いっぱいに表示し、縦スクロールで読み進めていく機能も追加されている。(略)

縦スクロール機能

(以上・引用/強調筆者)

あっ、現状Androidのみで、ページ繰りを縦方向のスワイプで繋げてく……。iPhoneだとまだ対応しておらず、単に見開きを分解し、1ページずつ縦に繋げたように読めるUIってことか……。しかも、端末を横にした時に……。はい。解散。

単に縦に繋げただけじゃ縦スクロールマンガじゃない

 紙のマンガは見開き2ページを1単位として構成されています。電子書籍も、元は紙のコミックスなら、見開きで読めると気持ちがいいもの。そのために、読者はマンガを読むための電書リーダーとしてできるだけ大きな、しかし持ち運びに大き過ぎないタブレットを選びます。

そこに、スマホ対応したぜ! と1ページを画面一杯にして、分解し、縦方向に繋げたら、見開きドーン!の効果は無いし、場合によってはコマ読む順番おかしくなる。

端的に言えば、四コママンガ。あれ、1ページに2本載るじゃないですか。1ページを横いっぱいに拡大して読むとなると……

f:id:iharadaisuke:20160129120453j:plain1本目を読むときは、こうスマホの画面は下にスクロールさせるじゃん。

f:id:iharadaisuke:20160129120549j:plain2本目読む時、上に戻すじゃん!!?

なにこれ、めんどくせえ。全然縦スクロールの恩恵ない。むしろ読みづれえ。

Google Playの中の人は、もうちょっと気を使って欲しいなと。UIの改良とiOSへの対応をお待ち申し上げる!

とはいえ、Googleがマンガ電書に本腰入れて来たか

上記のケータイWatchのニュースでは、Google Playのリニューアルについて……

  • 「マンガ」というジャンルが追加され、「スポーツ」「ファンタジー」等のサブジャンルも用意
  • 関連作品レコメンド等の充実

がされたと言います。これはそれまであまり使い勝手のよくなかったUIやサービスに、マンガ電書の選択肢として「Google Playブックスは、まず、無い」と見向きもしなかった層*1へのアピールであり、マンガを電書で読む人に、こっちでも買えますよ、便利ですよ、Google Playでマンガ買って読んでみてよ! とがんばった結果。

先日、「電子書籍で印税100万円目指す」描き下ろしコミック企画に挑戦したわたくし・猪原賽。まずは電書と言えばKindleだろうと、現在Kindle版でしか販売していないんですよね。
でも、こうGoogleがマンガ電書に本腰入れて来たなら、Kindle限定を外し、Google Playブックスはじめ、楽天kobo、その他電書サービスでも販売するマルチストア展開も本気で考えねばな、と思いました。

Google Playの新しいマンガ・ストアを見てみようという方はコチラにどうぞ。

マンガ - Google Play の書籍

Kindle版描き下ろしオリジナルコミックス、250円ですんで!

というわけで、電書印税100万円を目指す企画で発売したコミックス『オーバーペイントRe:PAINT』絶賛発売中です!コミックス未収録の幻の読切60ページも特別収録した、全91ページで250円

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オーバーペイントRe:PAINT

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上層部の分裂騒ぎに揺れる「邪馬淵組」。その屋敷では近隣住人のための正月恒例「餅つき大会」を自粛し、たったひとり残った組員・ケイイチと親分で、2人寂しく餅つきをしていた。暴力団を排斥する世間の流れに、屋敷の壁は悪意の落書きだらけ……。
そんな時、壁の落書きアート「グラフィティ」を描くストリート・アーティスト「ヌリコ」が現れ、屋敷の門に「龍」のグラフィティを“上描き”してしまい―― 

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その他・猪原賽がセルフパブリッシングしたKindle本

漫画原作者は一体「何」を書いているのか

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『学園ノイズ』『悪徒-ACT-』『放課後カタストロフィ』などを手がけマンガの原作だけで15年間以上生き抜いている著者が、マンガ業界で学んだノウハ ウを伝授。「マンガの原作」とは何か、どんな「原作」を書けばよいのか。なかなか表に出て来ない「マンガの原作」の実作例や心構え、初心者がおちいりやすい間違いなど、業界体験談をまじえつつ、わかりやすく解説。【99円】

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Revolver-リボルバー-

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 オオシマヒロユキ+猪原大介が出版社の持ち込みのために描いた読み切りマンガ「Revolver」を収録。(コミックス未収録作品)
ヤクザ! 殺し屋! 仇討ち! 赤い血の記憶が交錯する青春フィルム・ノワール、読み切り48ページ! 【250円】

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*1:主に俺のことです。